和の言葉を題材にして50のお題





遅 桜



最近顕著に思うようになったのは。
どうやら、自分は今までにしてきた恋と言う類のものは勘違いだったという事。
いいな。
そう直感で思って寄り添ってみても何時の間にか自然に終わっていた。
それが一度や二度ではない…
「…それはだな、慶次。」
そんな事をぼんやりと兼続に話したら。
「神の思し召しでは無かったのだ。その人とは」
と存外、軽く返されてしまった。
俺は、あんたに出会うためだったのかな…なんて言葉を続けようと思ったのに、なんだか言えなくなった。
先を越された感じだ。
「…そうだねぇ…」
慶次は頭を掻いて、この会話の続きを考えた。
「だが、慶次。その人らとの出会いが慶次を作ったのだ。忘れてはならぬぞ」
あ、また出端を挫かれた。
「心得てるとも…」
兼続と話すと、何時もこうだ。
言いたい事を先に言われてしまうからついつい俺は後手に回る。
「兼続…俺は…」
「だが慶次。私もそなたに出会うまで」
やばい、また。
「こ…っ…んっ……!」
慶次は兼続の後頭部に手を回して、引き寄せて口を塞いだ。
翻弄されるのは、趣味じゃない。
腰をも引き寄せて薄く目を開くと、固く目を瞑っている兼続。
言の葉に乗せる時間も惜しい。
耳に囁くのももどかしい。
口で先を越されるのなら、喋らせなければいい。
慶次は接吻しながら、最善の方法を思いつきさらに口付けを深くした。