和の言葉を題材にして50のお題





白 雨



気丈に頑張っているあんたの背中。
支えてやりたいと近寄れば、あんたは逃げる。
「大丈夫だ、私は。逃げたりしない、全てを受け入れる。」
人の末路とは、かのようなものであるのは定め。
人によって現世が長いか短いかだけなのだ。
そう言って、目を細めたあんたのなんと痛ましい事だろう。
総てを悟った人間はかくも脆い。
それでも足掻こうとする人間はこんなにも敢え無い。
成るようにしかならないなら、その中で生きようと思う俺と。
成るようにしかならないけれど、抗ってしまうあんた。
「…俺じゃ、役者は不足か…」
見てる世界は違うだろう、きっと。
でも、俺ならそれを分かって…
「なっ、何なのだ!?……び、吃驚して…つい、な…涙が……っ、…」
慶次は兼続を後ろから抱き締めた。
説明口調にしどろもどろと話す兼続。
その口が、三成…幸村…と言葉を落とすのに時間は掛からなかった。
「…天道様だってさ、暇をもらうんだ」
だからさ。
俺の前でぐらい、泣いたって良いんだよ。